須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成26年8月号掲載
高  売  り

 先日「でんかのヤマグチ」の社長さんの講演を聞く機会がありました。安売りと言う言葉は誰でも耳にしたことはあると思いますが「高売り」と言う言葉はあまり使いません。「でんかのヤマグチ」ではこの「高売り」をしているということです。背景は町田市でパナソニックの電気店を営んでいたところ、17年前に大型家電量販店が一挙に6店も近くに進出してきたことに由来します。日本全国至る所で同じような環境になってしまったため、悩んでいる経営者が多いものと思われます。

  こういう状況になれば、売上の2,3割ダウンは避けられません。そこで当時荒利26〜27%であったものを35%まで引き上げることを決断します。そして、個人客への掛け売りを止めます。やり方を間違えればさらなる売上減少を招く恐れがあります。そうした事態を避けるためには「いいお客を作る。お客様とのいい関係をつくる」ことが必要と考え顧客の絞り込みに入りました。例えば5年以上買っていないお客様、値切って買っていたお客様は顧客リストからはずしました。一度でも縁のあった人を顧客リストからはずすということは、かなり勇気の要ることです。

  そして、顧客からの商売以外の要望にも出来るだけ応え、例えばハムスターの体調が悪いといって店に連れてくれば動物病院に連れて行ったり、旅行に行くので新聞受けから新聞を抜いておいてと頼まれればそれに応じ、更には旅行の間、寝泊まりしての留守番を頼まれたこともあったようです。
  また、毎週土・日はイベントを実施し、これを33年以上前から続けているとのことでした。

  こうした日頃の取り組みが功を奏し、順調な業績をあげているようです。
 どこでも成り立つやり方とは言えないかもしれませんが、中小企業が価格競争に入って成功した例は聞いたことがありません。売値を大手と競争しても、仕入値で勝てるはずがないからです。高くてもあそこで買いたいと思われる商いをしたいものです。

  最後に、「新規お客様獲得=今いるお客様を大切にすること」という話で締めくくりました。ヘタに右往左往するよりも大切なことと実感させられました。
    
                所長 須田幸英
 事務所通信8月号掲載
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